2月の半ば、ほんの2週間前まで、レアル・マドリーは楽観的ムードに満ちていた。
2/6、コパ・デル・レイ準決勝の1st Leg、カンプ・ノウのバルセロナ戦を、悪くない内容で引き分けで乗り切ると、
2/9、中2日のリーガでのワンダ・メトロポリターノでのアトレティコとのダービーは、
一週間まるまる休んだ相手に1-3で完勝。
2/13、圧倒的に内容で押されたアヤックス戦も、疑惑の判定など諸々はあったものの、
1-2とアウェイゴールふたつを持ってかえる勝利に終わった。
魔の3連戦を無敗で乗り切り、リーガの可能性が広がり、CL、コパも順調。
ソラーリにとっては一足早い春の到来だった。
チームの雰囲気を示すかのように、クラシコに引き分けた翌日7日には、
ヴィニシウスを讃えつつ、「クリスティアーノ時代から脱却した」とMARCAが報じるなど、
このニュースターが牽引するチームと、ソラーリには楽観論が満ちていた。
すべてが変わったのは、そのアヤックス戦から3日後の17日、ホームのジローナ戦だった。
疲弊したチームを考慮し、ソラーリはアヤックス戦から6名を入れ替えた布陣で望んだ。
しかし、それまで10試合勝利のなかったジローナにチームは逆転負け。
首位バルセロナ勝ち点差は9に逆戻りし、リーガの可能性は1週間で元通りになってしまった。
このジローナ戦に、フロレンティーノは試合翌日18日、ソラーリと異例の
2時間の直接の話し合いを行った。
フロレンティーノはチームのロッカールームへ向かい、各々に話しかけるのが常で、
シーズン中に監督と1対1でこのような長い時間に会談するのは珍しい出来事だった。
6人のローテーションを、「自信過剰」「行き過ぎ」とフロントは考えていると伝えられている。(19日 MARCA)
敗戦、この話し合いが響いたのか、保守的にならざるを得なくなったソラーリは、
1週間空いたレバンテ戦でも、マドリーはベストメンバーに近いメンバーを起用。
直後に、中2日ずつでコパ、リーガ、CLアヤックス戦が次々に控えていることを考えると、
メンバーを落とす可能性もあったはずだったが、ソラーリはベストメンバーをチョイスし、試合はモチベーション内容のないゲームながら勝利した。
それまで、マルコス・ジョレンテ、ヴィニシウス、レギロンら、窮地で控えとみなされてきた若手を起用して、
スカッドを実際よりも大きく見せて来たソラーリだったが、
クラシコでは、「彼の11人」(GK、カルバハル、ヴァラン、ラモス、レギロン、カゼミロ、モドリッチ、クロース、バスケス、ヴィニシウス、ベンゼマ)
を、1週間に3試合起用し、疲労したチームは試合をコントロール出来ずに、得点なく惨敗した。
ベイルとアセンシオの復調に賭けたソラーリだが、両者はノーインパクトに終わり、スカッドを拡大させることは出来ず、
一方でカゼミロ、クロース、ベンゼマはMARCAでも不調が名指しで指摘されるほどの状態だ。
そしてまた、中2日でアヤックス戦が待っている。
10日間で4度目の「彼の11人」を使わなければならない。
疲弊したチームは、最後のタイトルに可能性を繋げるべく、
また空っぽのエネルギーを振り絞らなければならない状態に置かれている。