みなさんこんにちは。
昨季のレアル・マドリーはかなり混沌としているように見えたと思います。
シャビ・アロンソ監督を迎え、いわゆるW杯のスペインのようなサッカーを目指しましたが、ヴィニ、バルベルデ、ベリンガムといった重鎮たちの反発に遭うことに。
レアル・マドリーは伝統的に、スーパースターの能力を最大限に活かすようなチーム作りを好んでいます。
3連覇時代もクリスティアーノの殺傷能力を最大化するサッカーをしていましたし、フロレンティーノ・ペレス会長は「エンバペ、ヴィニ、ベリンガムという3大スターの共存」にこだわっています。
これは、フロレンティーノが幼少時代に見たチャンピオンズカップを5連覇した1950-60年代のチームへの憧憬が強いからと言われています。
会長のチームビジョンと、レアル・マドリーの世界の言葉で言えば「作家性の強い」監督であるアロンソの相性は良くありませんでした。
アロンソは盤面に興味がある監督ですが、フロレンティーノは、スーパースターが揃うチームのエゴのマネジメントこそが最も重要な要素と考えています。
クラシコには勝利(2-1)したもののアトレティコ(2-5)、リバプール(0-1)、シティ(1-2)に相次いで敗れアロンソは求心力を失い、11月ごろには会長の意向を反映せざるを得なくなり、すでにチームにはアロンソらしさ、「作家性」は失われていました。
後任のアルベロアは、どちらかといえばこれまでのレアル・マドリーの監督に近いアプローチでした。
怪我の影響でベリンガムとエンバペがおらず、スター格がヴィニシウスしかいなかった3月に素晴らしいパフォーマンスを見せますが、エンバペ、ベリンガムを再びチームに組み込む際、最適解を見つけることはできませんでした。
また、バルベルデとチュアメニが揉み合いの末流血沙汰を起こすなど、チームのゴタゴタは最後まで止まりませんでした。
過去2年、アンチェロッティ、アロンソ、アルベロアのいずれもが、チームの3大スター(エンバペ、ヴィニシウス、ベリンガム)が有機的に機能するチームを作ることができませんでした。
エンバペかヴィニシウスどちらか1人でいい、といったような常人の考えはフロレンティーノにはさらさらありません。
あくまでも彼の目標は全スターが共存した上で勝つことなのです。
さて、過去2年メジャータイトルなしという現状を打破するため招聘されたのは、ジョゼ・モウリーニョでした。
お世辞にも「旬の監督」とはいえませんが、レアル・マドリーをかつて率いた経験に基づくリテラシーとマンマネジメント、経験が優先された人事と言えるでしょう。
モウは第1次政権では、カシージャスとの対立を筆頭にチームが空中分解して終わり、当時を知る人からは不安の声もありますが、「モウもあの頃に比べれば丸くなった」という楽観論もあるように見えます。
バルセロナが徹底してスタイルを追求するチームなのに対し、レアル・マドリーは勝利至上主義、とにかく結果がすべてのチームです。
アロンソと選手の不協和音が囁かれ始めたのはアトレティコに2-5で敗れてからでしたし、アルベロアもバイエルン戦に敗退後、チュアメニ=バルベルデ事件のような数多くの問題が噴出しました。
ジネディーヌ・ジダンやカルロ・アンチェロッティのような例外的なカリスマと実績のある監督を除き、結果のみがチームを結びつける鍵なのです。
第1次政権のモウは最初のクラシコで0-5で敗れましたが、当時の彼はキャリアの全盛期でした。
今回同じことが起きたら、間違いなく再びチームは大きく揺らぐことになるでしょう。
既にチームのほとんどのメンバーがCLを2度(21-22, 23-24)制しており、エンバペのようなW杯歴代最多得点者もいます。チームはトロフィーが溢れた状態です。
モウに求められているのは、彼の極限的なアプローチでスターたちに飢えを取り戻すことだと思います。
毎年言ってるのですが、レアル・マドリーはとても政治的で特殊なクラブです。
noteではそんなチームの流れを日々追っているのですが(CM)、エゴがひしめくロッカールームに加えて会長もアクが強いですから、まあいろんなことが起こります。
一方で、ある意味それはスーパースター軍団の宿命でもあり、このチームの面白さでもあります。
この名鑑が、そんなチームの理解に役立てば嬉しいです。
1. ティボ・クルトワ
万全なら敵なしだが、近年では負傷が増えてきており、シーズン、W杯ともに筋肉系の問題でリタイア。
ファンは彼のパフォーマンスには全く不安はないが、怪我をしないかどうかヒヤヒヤしている。
モウはチェルシー2次政権でロッカールームを共にしており、ギラついた全盛期の彼を知るほぼ唯一の存在。
13. アンドレイ・ルニン
「ほとんどのチームでレギュラーになれるレベル」の贅沢な控えGKであるとされるが、昨季はCLバイエルン戦でのパフォーマンスが不安定で、「クルトワの不在を任せるにはやや頼りない」という声も聞かれるようになった。
潜在的な移籍希望もあり、去就が注目される。
2. ラウール・アセンシオ
昨季は3月にけが人続出の中、無理して強行出場していたにも関わらずその後唐突に干されたことでアルベロアと揉めた。
その1ヶ月後には細菌性全結腸炎で6kg体重が落ちたりと、ツキのない1年となってしまった。
今季は放出候補で、モウに直接構想外であると伝達された。
しかし断固として残留を希望しており、わずかなチャンスに賭けている。
今季から背番号は2。
3. エデル・ミリタオ
両膝の前十字靭帯断裂が癒えたものの、昨季は2度のハムストリングの怪我に苦しみ、4月にフィンランドで手術。W杯を逃した。復帰は9月予定。
それでもチームの信頼は絶大で、健康体ならばセンターバックの1番手。
年々ファッションがイカつくなっており、怪我のたびに彼の心のどこかが壊れてしまっているのではないかと噂されている。
4. ディーン・ハウセン
昨季の補強の目玉と期待されたが、配球は申し分ないものの守備全般が弱く、守備能力が重視されるレアル・マドリーでは微妙な立場に。
ミリタオの復帰に伴いバイエルン戦ではベンチスタートとなり、W杯出場を逃した。
セルヒオ・ラモスに憧れており、今季から背番号4を継承した際は想いをインスタグラムに投稿した。
12. トレント・アレクサンダー=アーノルド
カルバハルとの世代交代を成し遂げるべく加入したが、かねてから指摘されてきた守備難は相変わらずで、ドゥンフリース加入で向かい風。W杯も逃した。
とある日のMARCAに「唯一の疑問は、彼が守備を知らないのか、それともしたくないのか」と呆れられたこともある。
今季は中盤のコンバートも噂される。
16. イブラヒマ・コナテ
レアル・マドリーが契約切れを長く狙っていた身体能力型のセンターバック。
ドゥンフリースとともに、フロレンティーノの選挙公約として加入した。
伝統的に守備能力が重視されるマドリーにおいて、特にパワフルなセンターバックを好むモウとあれば、加入のタイミングはぴったりだ。
もっとも、現状で5人いるチームで最も層の厚いポジションでもあるだけに、ミリタオが怪我でいない間に、どれだけアピールできるかが鍵となりそうだ。
リバプールの先輩の介護も求められる。
17. マルク・ククレジャ
世界王者の不動の左サイドバック。
市場機会があると知るやモウが熱望し、6000万ユーロの電光石火のオペレーションをまとめ上げた。
「ヴィニが守らないっていうなら、彼の後ろの汚い仕事は全部やるよ」と意気込む。
バルセロナのユース出身だが、妻はマドリディスタのようで、喜びの声をSNSで投稿した。
18. アルバロ・カレーラス
昨季、5000万ユーロの移籍金で加入。
序盤はフル稼働し、センターバックとしても時折好パフォーマンスを見せていたが、CLプレーオフのベンフィカ戦で圧倒され、評価が急落。
最終的にはメンディやフラン・ガルシアにスタメンを譲り、W杯行きも逃した。
その結果、今オフは放出候補となったが、残留を強く希望。
今季は原則としてククレジャの控え。
22. アントニオ・リュディガー
カルバハル、アラバといった昨季のベテラン勢で、契約延長を勝ち取ったのは彼だけ。
ハウセンの不安定なパフォーマンスもあり、最終的にはミリタオに次ぐセンターバックの2番手としてシーズンを終えた。
陽気なキャラクターでありながら真面目な性格。
23. フェルラン・メンディ
酷使の影響か稼働率が低く、昨季はわずか8試合しか出場することができなかった。
しかし出場すれば相変わらず守備面は無敵で、昨季もバイエルン戦2nd Legではオリーセをある程度封じることに成功。
ビッグマッチになるとメシアに見えてくる、ある意味宗教的な存在。
現在も負傷中で、復帰は10-11月頃の予定。
マフレズ、キンペンベ、ガブリエル・パウリスタ、モイーズ・キーンらと共に、仮想通貨企業の株主としての側面もある。
ベッドとデジタル、時々ピッチを行き来する男。
24. デンゼル・ドゥンフリース
インテルに契約解除条項の2000万ユーロを支払って加入。
モウの好むクラシックな縦に行くタイプの右サイドバックで、スタメン争いはリードか。
フロレンティーノ政権下における初のオランダ人選手。
サイドバックながら190cmあり、身長の低い選手が多かった近年のマドリーではセットプレーも期待される。
5. ジュード・ベリンガム
過去2シーズンは数字はともかく、チーム内で完全に機能することはできず、初年度の輝きは消えたまま。
現在はトップ下と偽9番の間のようなプレースタイルで、本職で自由を得たW杯では大活躍。
一方でレアル・マドリーにおいては、エンバペ、ヴィニの割を食いがちで、昨季は3列目でもテストされたがゴールは戻らなかった。
モウの4-2-3-1にはトップ下があるため、やや追い風か。
6. エドゥアルド・カマヴィンガ
かつては無限のポテンシャルを賞賛されたが、軽率なミスがなくならず、バイエルン戦では敗戦に直結するレッドカードを喰らった。
既にチームでは「周りの仲間ほどチャンスは与えられない」とモウに直接宣告され退団を促されたが、あくまで残留にこだわる。
中盤の選手としては精神面の成熟が求められる。
8. フェデ・バルベルデ
「サイドバックとしてプレーするために生まれたわけではない」という発言が監督批判と取られ、結果的には真っ先にアロンソに声を上げたひとり。
アルベロア政権下では輝きを取り戻し、シティ戦では圧巻のハットトリックを達成し「キャリア最高の試合」と賞賛されたが、チュアメニとのいざこざで流血沙汰に。
被害者ではあるがきっかけを作ったとして再び非難された。
カルバハル退団に伴い今季からキャプテン。
妻のミナ・ボニーノは、マドリードの中古マンションを買い、リフォームした上で賃貸をするビジネスを最近展開している。
14. オーレリアン・チュアメニ
可も不可もないパフォーマンスが続いておりW杯でも存在感がなかったが、ミスは少なく、彼の不在(累積)が結果的にバイエルン戦の敗退に直結した。
それゆえ、チームが良ければ縁の下の力持ち、チームが悪ければ展開力が凡庸と叩かれる存在。
昨季はいざこざからバルベルデを突き飛ばしてしまい、テーブルにおでこをぶつけたバルベルデは流血。
両者共に50万ユーロという巨額の罰金を課せられた。
今季はそのバルベルデと4-2-3-1のダブルボランチの一角を仁義なく争う。
15. アルダ・ギュレル
会長のお気に入りの一人で、昨季は「プレーメーカーがいないならアルダをピボーテに改造しろ」という無茶なリクエストがアロンソを苦しめた。
結果的にピボーテ適性は低くコンバートは失敗に終わったが、バイエルン戦では見事な直接FKを叩き込むなど、ひ弱さが消え一皮剥けた。
今季はベリンガムがトップ下の1番手で、ベルナルド・シウバの加入もあり、レギュラーポジションのない状態からのスタート。
マドリー人生を左右する一年になる。
20. ベルナルド・シウバ
モウの強いリクエストにより加入。
筋肉質の多い中盤にIQをもたらせる選手としてもともと期待されていたが、ロドリ獲得失敗により、クロース、モドリッチ後不在のままのプレーメーカーとして期待は増した。
「地に足がついた性格」と謙虚な振る舞いが早くもチーム内に好評。
新加入ながら年長者としてリーダーシップも期待されている。
27. チアゴ・ピタルチ
アルベロアが見出したプレーメーカーで、昨季終盤に一気に頭角を現した。
当初はそのアルベロア率いるフルハムへの移籍話が進んでいたが、ロドリの獲得に失敗するやいなや、モウが移籍にストップをかけた。
ベルナルド・シウバの控えとして今季は原則トップチームでプレー。
今でも父親の車で練習に通っている。
7. ヴィニシウス・ジュニオール
クラブW杯のPSG戦、アロンソが彼にベンチスタートを告げたことが最初の伏線だった。
「トレントの負傷」という政治的な配慮でこの試合は結果的には先発するが、数年来プレーしていない右サイドでの起用。
オビエド、ヘタフェ、CLマルセイユ戦とスタメン落ちが続き、ヴィニの不満は募っていった。
そしてクラシコでの交代で、不満は爆発した。
騒動の謝罪文に「会長、ファン、チームに謝罪する」と書いたことも、意図的に「監督」を省いたと受け取られ火に油を注いだ。
バイエルン戦ではウパメカノに完封され、直後のベルナベウでの試合にはファンに謝罪のジェスチャーを見せた。
今やAirPods ProのCMに出演するなど、エンバペとCM出演数はほぼ変わらないほどの看板スターだが、マドリーメディアすら「万人に好かれる選手ではない」と評すなど、ファンの中でも好き嫌いが分かれる。
今オフは契約を延長。
会長の寵愛に応え、アンチを黙らせることができるか。
9. エンドリック
昨季はゴンサロの台頭で居場所を失い、冬にリヨンへローン。
フランスの地で活躍しW杯に滑り込んだが、ノルウェー戦で決定機を逸し、評価を下げた。
放出の可能性もあったが現在では残留見込み。
リヨン時代に新たな適性となった右サイドとしても出番をうかがう。
10. キリアン・エンバペ
昨シーズン序盤は得点力に欠けるチームを決定力で一人で支えたが、シーズン終盤に怪我で離脱中に恋人とサルデーニャ旅行をしたことで批判を浴び、退団を求める署名を集めるウェブサイトまで作られた(署名が自動で集まる仕様だったとも言われている)。
過去2シーズン、数字だけ見れば申し分はないのだが、チームが無冠ということもありエゴの強さを批判する声も。
いまだ抜けない「外様感」を払拭し、ファンに愛されることも必要かもしれない。
昨季膝を負傷した際には、チームドクターが健康な方の膝を間違ってMRI撮影してしまい、セカンドオピニオンを求めフランスまで行く羽目になった。
11. ロドリゴ・ゴエス
昨夏はシティへの移籍が囁かれたが、最終的には残留。
アロンソに愛された割には期待に応えることができなかった。
3月2日のヘタフェ戦で前十字靭帯および外側の半月板を断裂し、年内いっぱいは欠場。
かつてはスター候補として持て囃されていたが、フロレンティーノはディオマンデを獲得し、明確に彼に飽きている。
怪我が治癒すれば放出候補。
19. カルロス・エスピ
モウが、「0-0の時に放り込むターゲットマンが欲しい」と要望し、レバンテに契約解除金2500万ユーロを支払って獲得。
フルハムに移籍したゴンサロと入れ替わる形となった。
エンバペが純然たるセンターフォワードでない一方で194cmの長身とポストプレーに長けた彼はよりモウ向き。
エンバペからポジションを奪う可能性は低いが、引いた相手に苦労するのはモウのチームの恒例の悩みであり、出番は多そうだ。
21. ブラヒム・ディアス
マラガ出身だがモロッコのルーツを持ち、アフリカネーションズカップでPK失敗し話題に。
アルベロア政権下ではヴィニとともにツートップの一角として起用され、3月の好調なチームの立役者に。
バイエルン戦2nd Legでも先発するなど評価が高かった。
マンチェスターでの経験から英語にも堪能で、新加入選手はほぼ例外なく彼のコミュニケーション能力に救われるナイスガイ。
オフに結婚式を挙げた。
25. ヤン・ディオマンデ
これまで、レアル・マドリーの右ウイングは補完的なポジションであり、
フェデ・バルベルデやロドリゴといった本職ではない選手たちによってカバーされてきた。
クラブ史上最高額で移籍してきたこのアフリカ人ウインガーによって、右ウイングはチームの主役ポジションとなる可能性がある。
ロドリの獲得失敗は彼のせいではないが、獲得タイミングが重なってしまっただけになおさら期待は大きい。
監督 ジョゼ・モウリーニョ
お騒がせ男が戻ってきた。
第1次政権ではペップ政権を終わらせ、その後の栄光の礎を作ったと評価されている一方、最終的にはカシージャス、クリスティアーノ、ぺぺ、セルヒオ・ラモスら主力のほとんどと揉めてチームが崩壊。
最後までモウ派だったのはアルベロア、カジェホン、エッシェンだけだったと言われている。
あれから時が経ち、昨季は2位ながらベンフィカはリーグ無敗(23勝11分)。
持ち前の堅守とカウンターアタックで、かつてのようにチームを立て直すことができるか。
強烈な個性と年齢による成熟のバランスが鍵。
会長 フロレンティーノ・ペレス
悪代官を地で行くダークマター系79歳男性。
2年連続メジャータイトルなしの失態に加え人気者のアロンソを解任したことで、ファンは「フロレンティーノ辞任」とベルナベウで声を上げる事態に。
ファンの声を受け会長選挙を3年前倒して開催し再選したが、65%という支持率の低さはかつてほどその地位が盤石でないことを示す結果となった。
今季は大補強を実施したが、クラブ史上最高額のディオマンデ獲得にロドリのハイジャックをぶつけられ恥をかいた。
今季は自身の好みであるモウリーニョを招聘。
ジダンにもカルロにも渡さなかった補強権限を譲渡してまで結果に賭けている。