昨年実験的に書いてみたものが思いの外好評だったので、今年も書いてみることにしました。
例によってwikipediaの豆知識に書かれるような内容はあまりなく、原則的には昨季のピッチの出来や移籍市場においてどうだったかと、ほんの少しのプラスアルファになります。
ある程度は踏み込んだ内容なので、「昨季のマドリーの監督って誰だっけ?」みたいな人だと若干ハードルが高いかもしれませんが、
無論選手名鑑なので、他チームのファンの方にも、現状がわかるようにしたつもりです。
26人分(トップチーム25人-プレーを見たことがないので書きようがない第3GKアルトゥべ+ロドリゴ)と監督です。
それでは、どうぞ。
GK
1. アルフォンス・アレオラ
まさかこの男が背番号1をつけていると開幕前に予想できた者はいないであろう。
パリからの1年ローンで加入。
マドリーはプレシーズン開始時点で、ケイラー、ルニン、クルトワ、ルカ・ジダンの4名のGKが在籍していた。当初はクルトワ、ルニン+ユースから第3GK、の予定であった。
しかし、ケイラーは残留に意欲。その結果ルニンはレンタルの道を選び、ルカ・ジダンも同様に。
クルトワ、ケイラーという妥協の道かと思いきや、一転してケイラーは移籍期限最終日に直前にパリとの交渉がまとまるというドタバタ劇。
第2GKを探していたマドリーはパリからそのまま彼を借り入れた。
ビジャレアルでのプレー経験がありリーガは知った地。
13. ティボ・クルトワ
昨季は自身のパフォーマンスは悪くなかったが、チーム自体のゴタゴタに巻き込まれ失点シーンが増えてしまい、順風満帆な1年とは言えなかった。
扱いとしては、リーグ戦GK(ロペテギ)→絶対的レギュラー(ソラーリ)→ローテーション(ジダン)。
ケイラーという存在がいなくなった現在、ようやくスタメンは安泰に。
基本的にGKとしての能力に欠点という欠点はないが、高身長ゆえに足元を抜かれやすく、話題になることも。
リーガの規定に阻まれケイラー退団後の背番号1への変更は出来ず。
2. ダニエル・カルバハル
レアル・マドリーにおいて、現在レギュラーの座が最も安泰なのは、彼ではなかろうか。
まさに無風。競争相手のオドリオソラとの差は昨季で明白となり、世界最高の右サイドバック(の少なくともひとり)の座は揺るがない。
昨季はロペテギ時代を中心にやや怪我がち。数年の蓄積疲労の感も。
3. エデル・ミリタオ (EU外枠)
マドリーがポルトから5000万ユーロを支払って夏を待たず獲得したブラジル人センターバック。
ポルトから高額で獲得したセントラルといえば、10年来マドリーを支えたぺぺが思い浮かび、期待される存在。
プレシーズンでは3バックの右での起用が多い上にあまり出番もなく、実力をマドリディスタに示しきれているとはいえないものの、年齢不相応の落ち着きを備えた存在。
スピードとインテリジェンスはあるだけに、問題になるとすればフィジカルパワーか。
4. セルヒオ・ラモス
昨季は迷走するチームを酷使に耐えながらもほぼ満点のパフォーマンスで支え、連発したパネンカでマドリディスタを笑顔に。
ジダンになってからは消化試合からか負傷で早々にシーズンを終えた印象。
Amazonで本日公開の自身のドキュメンタリー制作が、CLアヤックス戦の敗退と重なったことで批判を浴びることもあったものの、その話題性含め、現代では稀有なスター性をもつDF。
パフォーマンスに衰えも見られず。
5, ラファエル・ヴァラン
昨季は軽率なミスが減り、ぺぺ-ラモスのコンビへの郷愁も少なくなってきた。
契約延長交渉が済んでおらず、一時は移籍騒動もあったが、彼を寵愛するジダンが帰還したことにより移籍の可能性は消滅。
ミリタオとのレギュラー争いは当然一歩リードだが、序盤の出来は芳しくなく、新たな争いが。
同じくAmazonでドキュメンタリーの公開が今月末に控え、こちらも相方と競っている。
6, ナチョ・フェルナンデス
昨季は過去最悪のシーズンで、ここ数年の酷使の影響からかパフォーマンスにキレが見られず、またジダン1次政権にあったモチベーションも欠いていた印象。
ミリタオ加入で去就が注目されたが残留。クラブではサブだが、スペイン代表ではレギュラー。
ドキュメンタリーは制作されていない。
12. マルセロ
昨季は、いきなりロペテギに途中交代させられ、「予想外だった」と プライドを傷つけられたことにはじまり、「マルセロの攻撃面のプラスと守備面でのマイナス、どちらが多いのか」といった類の記事が組まれるほど、かつてなくパフォーマンスが批判され、ソラーリ時代はレギロンにレギュラーを奪われた。
今年はジダン就任&メンディ加入もあってかモチベーション満点で、プレシーズンから好調を維持。いるかいないかでチームのポテンシャルが変わる存在であり、
コンディションが並以上であれば揺るがない存在のはずだが。
19. アルバロ・オドリオソラ
入団1年目の昨季は、縦へのアップダウンの活動量は見るべきものがあったが、守備の中央への絞りの甘さで喫した失点は数知れず。自慢の攻撃面でもクロスの精度を欠き、本領発揮とはならなかった。
ドルトムントで花開いたアクラフがレンタルバックするまで1年。今季がラストチャンスか。
23. フェルラン・メンディ
ジダンたっての希望で4500万ユーロで、リヨンから加入した左サイドバック。シティの(ベンジャミン・)メンディとは同じポジションの別人。
プレシーズンは負傷でほぼ棒に振ったが、デビューとなったビジャレアル戦ではリーガ屈指の快足アタッカーのチェクエーゼのスピードに負けず、上々の滑り出しとなった。
マルセロとの比較は免れ得ないだけに、攻撃面でのプレゼンスが必要。
高額移籍金のプレッシャーに耐えられるか。
MF
8. トニ・クロース
昨季末の契約延長の場で、「多くの主力選手同様、ベストではなかった」と自ら認めるほど、昨季はなんとも言えないパフォーマンスに。酷使の影響か手を抜くシーンも目立った。
今季も中盤は4枚と、彼の存在は前提。
映画「クロース」は母国で既に公開中。
10. ルカ・モドリッチ
現バロンドール。
インテルの移籍騒動に揺れた昨季とは一転、今季は「ネイマール・オペレーション」の一角になるのも拒否。早くからモチベーションの高いプレーを見せている。
ジダンは第1次政権から彼の出場時間を区切ることに熱心だが、中盤の懐事情がそれを許すか。
日本ではW杯以降女性ファンが急増した。
14. カゼミロ
ジダンによって現在の地位を築いた、マドリーに不可欠とされる男。
現役時代マケレレの放出で懲りているジダンの扱いは、モドリッチとクロースのそれと同格。
実際にコパ・アメリカにより彼の合流が遅れたプレシーズンはチームの守備が崩壊。
不在によって彼の存在感が際立つ形となった。
昨季は怪我により一瞬マルコス・ジョレンテの台頭を許したが、概ね好調を維持した。
最近はパスワークも向上している。
ドキュメンタリーも映画も当然制作されていない。
15. フェデ・バルベルデ
第2次ジダン政権発足後重宝されている存在で、戦術的インテリジェンスの高さはジダン好み。
本人は出場機会を求めたがジダンは彼を信頼。「絶対の3人」以外の純然たる中盤。
本職は中盤の底ではないはずだが、今季はカゼミロのポジションでの出番が多そうだ。
スペイン国籍の取得がシーズンにギリギリ間に合い、トップチームの外国人枠をひとつ開けた。
16. ハメス・ロドリゲス
3年ぶりのマドリー帰還にファンは大喜び。
第2節セルタ戦では816日ぶりのマドリーのユニフォームを来ての公式戦となった。
当初は売却が既定路線、恩師カルロのいるナポリが有力とされたが、
最終的には本人が白いユニフォームを捨てることが出来ず。
移籍要員とされていたためプレシーズンの出場はゼロだがリスタートを目指す。
17. ルーカス・バスケス
彼もまた放出候補の一人であった。
ローマ、地元セルタ等候補はあったが、アセンシオの離脱で右ウインガーの手駒が足りなくなると、
ジダンに元来重宝された彼は自然に残留へと向かった。
いち昨シーズンの覚醒を恩師のもと思い出せるか。
ファンからの人気は低い。
ベルナベウは「白いシャツを泥で汚す」ハードワークをするプレイヤーを好むとされるが、
それだけでは人気は得られないと感じさせる存在。
20.マルコ・アセンシオ
昨季はクリスティアーノがいなくなり、「BBA」か?と飛躍の年としての期待は最大だった。
…が、リーガ30試合出場で1得点。この数字だけで十分だろうか。
MARCAには「彼にとって忘れたいシーズン」と書かれる始末。
今季も右サイドのレギュラー候補だったが、プレシーズンに前十字靭帯断裂+半月板損傷の大怪我。
彼にとっては第2のサッカー人生の始まりの年となった。
今季はピッチへの復帰がまずは目標。
21. ブラヒム・ディアス
昨季の冬のマーケットでシティから獲得したベイビーフェイス。
ジダンは彼をいたく気に入っており、個人面談で彼に「君を信用しているよ」と告げるほど。
レンタルでの武者修行が規定路線だったが、そんな意向とアセンシオの怪我もあり残留。
プレシーズンは故障+再故障でそれぞれ1ヶ月離脱で出番なし。
4節からがシーズンのスタートとなる。
代理人はペップの兄弟。
22. イスコ
昨季は、主力(ロペテギ)→構想外(ソラーリ)→それなり(ジダン)というジェットコースターのようなシーズンを送った。
マドリーは彼を高値で売れる放出候補とみなしており、
熱心に売りたがっていたが高額年俸もあり買い手がつかず。
彼個人のファンベースは熱狂的でやや過激だが、ベルナベウではブーイングも飛ぶ。
ティーンを中心に人気がある。
FW
7. エデン・アザール
マドリー待望の「ギャラクティコ」。
当人はマドリー移籍を熱望しており、チェルシーとの契約が残り1年となったところで、
1億ユーロ+オプション3000万ユーロでの獲得になった。
プレシーズンでは2トップの1角での起用が多かったが、
彼もまたプレシーズンで負傷、デビューが遅れることとなった。
背番号は仮番号の「50」を経て、「7」に。
将来、モドリッチが退団の場合は「10」が確約されているという説も。
9.カリム・ベンゼマ
「クリスティアーノのパートナー」から「ゴールゲッター」へのモデルチェンジが求められた昨季。
例によって典型的な9番ではなかったものの、シーズン通算30ゴールを達成し見事に期待以上の最高のシーズンに。
意図的に筋肉をある程度落としたことでキレが増した。
アザールとのコンビプレーも早くも良好。
11. ギャレス・ベイル
この夏の主役。ユナイテッド、中国と名前は踊った。
ジダンにシーズン前に「個人面談で構想外を告げられた」3選手(ベイル、セバージョス、マルコス・ジョレンテ)で唯一の残留となった。
マドリーは彼の放出に躍起になり、ジダンに「(放出が)明日であれば、なお良い」という、彼のスペイン語のスキルの問題という弁明があるにしてもあまりに残忍なセリフを言わせた。
しかし、彼は残り、3節のビジャレアル戦ではチームを救う大活躍。
がむしゃらさとビッグマッチの強さで「ギャラクティコ」復活なるか。
18. ルカ・ヨビッチ
マドリーが「生粋の9番」と希望して獲得したゴールハンター。
器用ではないが両足、ヘディングともに強烈。
ベンゼマの「控え」という立場での加入であり、
またスペイン語圏でも、チームに多いフランス語圏でもない彼は、生活面含め適応がカギか。
シャイな性格で、入団会見の挨拶はかつてないほど短く、「シャイなのですか?」と直後に質問が飛んだほど。
24. マリアーノ
マドリーは彼を放出するはずだった。モナコ、セビージャ、ベティス、バレンシアと彼に興味を示したクラブは数知れず。
しかし、リヨンでの武者修行から帰還した彼はどうしてもマドリーを諦めることが出来なかった。
昨季はヘルニアに悩まされ、ほとんどベンチに入ることが出来なかった。
その結果、背番号「7」は1年でアザールのもとに。
「俺は出場機会さえ得られればバロンドールなんだ」と彼の身近な人間には漏らしていたとされ、とにかくマドリーでの成功に、プレー同様の貪欲さで賭けている。
25. ヴィニシウス・ジュニオール (EU外枠)
昨季はソラーリ政権の救世主となり、ドリブルで仕掛ける選手が欠如していたマドリーの光となった。
しかし、酷使がたたりサッカー選手にはあまりない珍しい部位を負傷し、キレが失われつつある。
その結果、現在マドリーでは掌を返されており、マドリーは熱心に、パリとのネイマール獲得交渉に彼を入れたがった。
アザール加入の煽りを受け、右サイドでのテストも。
課題は元来決定力もフォームを戻すことが先。
トップチーム登録により背番号は「25」に。
27. ロドリゴ・ゴエス (EU外枠)
マドリーが、若きネイマール(15歳)を獲得失敗したことをアレルギーにし、ヴィニシウスに続いて4500万ユーロで獲得したブラジル人ウインガー。
本職は左だが、ヴィニシウスとは異なり右でのプレーに慣れており、状況次第では一気にスタメンの座も。
彼もまた怪我によってプレシーズンを半分棒に振った。
ちなみに、久保が外国人枠で争っているのは彼。
監督 ジネディーヌ・ジダン
マドリーにおいての彼は王であり、
CL3連覇は彼を伝説にした。
「変化が必要だ」
低迷を見かねて戻ってきた英雄にファンは歓喜したが、
パッとしない成績と古株を重用する采配にファンは早くも不満に。
得意の大所帯マネージメントでチームに飢えを戻せるか。