勝てばディ・ステファノ時代の5連覇も視野に入る試合ということで、
普段より相当硬いな、というのが序盤の印象でした。
マドリーは今季のCLの定番である、最初にイスコシステムで相手を引き出し、ピッチが間延びしたところを早いウイングで突くという形を採用。
ジダン的にはまんまというべきか、30分くらいまではリバプールの攻撃が続きました。
とは言うものの、サラーの怪我、およびカルバハルの怪我が重なり、
流れがぶつぶつ切れていたので、気がついたら30分くらい時間が経っていた、という印象の方も多いのではないでしょうか。
30分過ぎからはマドリーが攻撃を開始しましたが、
この布陣はシーズンを通して攻撃で機能したことはなく、クリスティアーノとベンゼマが孤立してしまうという問題を抱えた布陣で、ネットを揺らしたシーンもオフサイド判定。
ジダンお得意の「前半の塩漬け」を経て後半を迎えます。
後半開始後まもなく、前半に比べて刺すか刺されるかといった、ピッチの幅が広がった展開となり、
ジダンはここでベイルをチョイス。
ルーカス、アセンシオが最終盤のリーガでイマイチだったこともあり、
カルバハルの怪我がなくても、交代一番手はベイルということはジダンは決めていたかもしれません。
交代相手は調子によってはベンゼマであったかもしれませんが、交代はイスコ。
久々のBBCがCLの舞台で復活となりました。
その後は原則的にマドリーの試合でしたが、
本来はいろいろな転機であるはずの得点シーンが、リバプールはセットプレーですし、
マドリーの3点はいずれも、流れも何もないといったものばかりで、
またしてももやっとした試合でジダンが勝ってしまったな、というのが正直な印象です。
あえて勝敗を分けたものを述べるとするならば、それはミスをしたかしていないかということになるのですが
カリウスの2つのミスはチームとしての経験値としてどうのこうのが影響したとは言い難く、
2連覇したチームにああいうミスを2つもプレゼントすれば、踏んだ場数、切り抜けた修羅場はどこよりもあるマドリーですから、そのリードを活かすのはさして難しいミッションではありませんでした。
とはいえ、やはりあのベイルの伝説的なボレーがマドリー勝利をほぼほぼ引き寄せたのは事実であり、
マドリーは得てして、ファイナルで印象的なゴールをあげ、勝利していることを考えれば、選手全員がジダンのあのボレーを思い浮かべたはずであり、
この試合、マドリーが「負けはないな」と確信したのはあの瞬間であったと思います。
今季のマドリーは、ビッグマッチでは10名のスタメンはすでに決定しており、残るひと枠をイスコ、ベイル、アセンシオ、ルーカス・バスケスが争うというチームの構造がありました。
この4人が時期は違えど、ビッグマッチで結果を出しており、
クラシコ以降の最終盤は、イスコが怪我、ルーカス、アセンシオが調子を落とした中、ベイルがリーガで爆発し、このタイミングでこういった活躍をしたということは、
ジダンの、
「全員エース級の戦力を、競争を通じて1年間モチベーションを維持させ、チームの一員として皆が重要な存在であると思わせる」
というマネージメントの勝利であると言って良いのではないかと思います。