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カリム・ベンゼマバロンドール受賞記念:ジダン、ロナウド、2Pac

カリム・ベンゼマは、1996年1月23日、第23回のアメリカン・ミュージック・アワードに出席した2Pacにインスパイアされた衣装で、バロンドール授賞式に登場した。

2Pacは彼が愛してやまないヒップホップアーティストであり、自身のInstagramに2Pacの生前の画像頻繁にが投稿される。アルバム "All Eyez On Me"が特に好きだという。

波乱万丈の人生は、どこかベンゼマと共通するものがある。

この日は、ベンゼマにとってまさに夢の中の世界だった。

ジダンとロナウドが憧れと公言して来た彼が、ジダンからトロフィーを受け取り、バロンドールを受賞した。

フランス人の受賞は、そのジダン以来の24年ぶりだ。

壇上のジダンだけでなく、会場にいたロナウドも、満面の笑みで新たなバロンドーラーを祝福した。

「もし彼が私のチームにいたら、何も言わずに僕がベンチに座る唯一のストライカーだ」と、スピーチでロナウドにスペイン語で伝えた。

彼のアイドルはただ笑っていた。


ファッションを愛する彼が、憧れのアーティストの衣装を着飾り、自らのサッカー界のアイドル2人から祝福される。

彼にとって、これ以上のシチュエーションはあるだろうか?


ベンゼマは2015年代表を追放され、2021年に復帰するまで、代表ウィークのたびに、チームメイトが2週間祖国で試合をする中、1人バルデベバスでコンディションを調整する日々が続いた。

ちなみに、96年に発表された"All Eyez on Me"の前作は、"Me Agaist The World"(1994)だ。


2016年と2020(2021)年のEURO、2018年のW杯には出場が叶わなかった。

その間、孤独にトレーニングに励む彼を支えたのは、監督でもあったジダンや、同じポジションの「フェノーメノ」への憧れ、そして2Pacの音楽だったのだろう。


こうした影の努力が、クリスティアーノ退団以降のマドリーにおいて、「彼の最高のパートナー」から、「チームの攻撃の責任をすべて背負う存在」、すなわちエースへの進化に繋がったのだと、私は思う。

間違いなく、彼のための夜だった。

世界中のすべての人々の目線は彼にあった。